エンディングノートと遺言書の決定的な違い
まだ生きているうちに身辺整理を行うことを、「生前整理」といいます。この生前整理を行う上で、「エンディングノート」は非常に役に立つツールです。
しかし、このエンディングノートと遺言書を同じように考えている人は少なくありません。そこでここでは、エンディングノートと遺言書の違いについて解説していきます。
エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートと遺言書の最大の違いはとても簡単です。それは、「法的な効力があるか、ないか」ということです。具体的には、以下のようになります。
遺言書=法的な効力を持つ
エンディングノート=法的な効力を持たない
遺言書の書き方には決まったルールがあります。そのルールに従って書かれた内容は自分の死後、法的な効力を持ち遺言が執行されます。
一方、エンディングノートには法的な効力がないため、「自分の財産をすべて妻に残したい」と書いていたとしても、その判断は遺族に任されることになります。
つまり、エンディングノートに財産の分配方法や遺言執行者を指定していたとしても、それはただの希望としてしか適用できないのです。
したがって、考えようによっては、エンディングノートはただのメモ帳といっても間違いはないのかも知れません。
エンディングノートを活用する
それでは、なぜこのような法的に効力を持たないエンディングノートが注目されているのでしょうか。それは、これまでの自分の人生を「気軽」に整理できるからです。
遺言書を書くとなると、難しいイメージがあり気軽に書くようなものではないと考える人がいます。そのため、実際に遺言書を書く人はまだ少ないのが現状です。
しかし、エンディングノートであれば、法的な制約がないため気軽に書き始めることができます。そして、これまでの人生を整理することで、家族に本当に伝えたいことや、今しなければならないことが見えてくるのです。
また、エンディングノートには人生を整理するうえで書いておかなくてはならない項目が網羅されています。そのため、「何を書けばよいのか」、「書き残したことがないのか」が簡単にわかりとても便利です。
例えば、伝え忘れてしまいがちなデジタル資産(インターネット上の資産)の存在や、ペットのかかりつけの医師の名前など、書面に残しておくと遺族が助かることが多いです。
さらに、エンディングノートを活用するメリットはこれだけではありません。エンディングノートには、自分の財産を洗い出す項目があります。
この財産の項目をしっかりと書いておけば、いざ遺言書を残すときにエンディングノートを活用することで正確な財産分配が出来るというメリットがあります。
ここまで解説してきたように、エンディングノートは遺言書とは違い法的な効力は持ちません。しかし、これまでの人生を整理するための「手引き」をしてくれる素晴らしい道具です。
これから生前整理を始めてみようとお考えの方は、エンディングノートを活用し遺言書と使い分けることが大切です。
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