親子で生前整理を行う際、親を説得すると失敗する理由

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片付けの仕事を始めるまで、私は17年以上サービス業の世界で活躍してきました。その中で、お客様に気持ちよく商品を買ってもらうために、あることに注意して仕事をしてきました。

 

それは、「相手を説得しないこと」です。人は説得されていると感じると、拒絶反応を起こします。

 

例えば、服を買いに行って、「なんとなく買わされている気がする」と感じた経験は誰にでもあると思います。この「なんとなく買わされている気がする」というのがまさに拒絶反応であり、このように思わせてしまう販売員はレベルが低いです。

 

一方で、とても満足のいく買い物ができた経験も誰にでもあると思います。予算は少しオーバーしたとしても、気持ちの良い買い物ができたと感じることがあります。

 

それでは、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。

 

説得で人は動かない

 

人は「納得」することは好きですが、「説得」されることを嫌います。しかし、多くの人は相手を説得しようとして失敗します。ここでは、このことについて詳しく説明していきます。

 

1、説得とは

 

まず、「説得」とはどのようなものでしょうか。「説得」とは、相手を自分の意見で丸め込むことです。

 

説得には、「自分の意見はこうだ、だからあなたもこうしてほしい」というように、少々強引なニュアンスが含まれています。また、先述のように一方的にこちらの意見を押し付けるため、相手に不快感を与えてしまうことが多いです。そのため、人は説得されることを嫌います。

 

これは、あなた自身に当てはめてみると理解しやすいです。先ほどの例と同じく服を買いに行ったとき、あまり好きではない服を店員が勧めてきました。こちらの好みを聞くことなく、「絶対にこれが似合う」と一方的に勧めてきたとしたら、とても不愉快になると思います。

 

また、相手の情熱に押されて服を購入したとしても、説得された自分に対し、「強引に説き伏せられた」と感じます。こうなると、二度とその店には行かないでしょう。

 

つまり、「説得する」ということは、相手の思いを無視し、自分の意見を押し通す行為になります。

 

2、納得とは

 

一方、「納得」とは、こちらの意見に「共感」してもらうことになります。

 

共感してもらうことができれば、相手自ら行動してもらうことができます。また、説得されたから仕方なく行動するのではなく、自らの意思で決定し行動することになるので、不満が残ることはありません。

 

気持ちの良い買い物ができたと感じるのは、十分に納得した上で買い物ができた場合です。それでは、説得相手に気持ちよく納得してもらうにはどのようにすればよいでしょうか。

 

相手を思って説明をすることで、人は納得する

 

人は、心から理解しないと納得しません。そのためには、なぜこちらがこのようなことを言うのかを相手に理解してもらうことが大切になります

 

例えば、子供が生まれたため、今乗っている車では手狭になってきました。そこで、新しく出たワンボックスタイプの車を買いに出かけることにしました。できれば燃費がいいハイブリット車が理想です。

 

最初に向かったA店では、販売員が次のように説明をしてきました。「燃費がいい車であれば、こちらのハイブリット車はどうですか。1リットルあたりの燃費は30kmになります。とてもいい車ですよ」と、このような説明を受けました。

 

次に向かったB店では、こちらの家族構成を聞き、普段どのような車の使い方をしているかを丁寧にヒアリングしてくれました。そこで提案されたのが次のような車です。

 

「燃費がいい車が良いとのことですが、お客様の車の使い方であればハイブリット車は必要ないと思います。ハイブリット車は、年間で1万キロ以上走るのでなければ、差額分の元を取るのに15年ほどかかります。15年以内に乗り換えるのであれば、ハイブリットではなく標準タイプを選ばれると20万円ほどお安くなります。」

 

「もし予算内であれば、その差額分でこちらの車に電動スライドドアをつけられませんか。小さいお子様がいる場合、この電動スライドドアはとても便利です。また、先ほど見られたというA車の○○より社内面積が広く、荷物をたくさん載せることができます。私にも2歳の子供がいるのですが、びっくりするほど荷物が増えますよ」

 

B店では先ほどのA店とは違い、こちらの家族構成や、普段の車の使い方を聞いたうえで最適の提案をしてくれました。ここまで丁寧に説明をしてくれたうえ、こちらが最も得をするような提案をしてくれたのであれば、十分に納得してしまうと思います。少なくとも、私であればB店の車を買うと思います。

 

多くの人は相手を説得する場合、こちらの要望を一方的に押し付けてしまいがちです。だから納得してもらうことができません。

 

そうではなく、なぜそれが必要なのか、なぜこのようなことを言うのかを詳細に説明する必要があります。そして、相手に「なるほど」と思わせなければなりません。

 

また、相手を説得する上で最も重要なことは、「心からあなたのためになると思っていること」を伝えることです。真剣な思いは相手に伝わります。

 

先ほどの車の例であれば、小さな子供を抱える家庭のためを思って、自分の経験談を交えて提案してくれました。この気持ちが伝わってくるからこそ納得できたのです。

 

生前整理の実例を挙げると、モノが多すぎるため歩くことが困難になっているお宅は多いです。このようなお宅の場合、親が高齢になったときにつまずく可能性が出てきます。そのため、つまずいた拍子に怪我をしてしまうかもしれません。

 

「大切なあなたに怪我をしてもらいたくない」、「清潔な部屋で暮らしてもらいたい」など、本音の部分をそのまま伝えるだけで、納得してもらえる可能性は高くなります。

 

このように、「相手をどうやって説得するか」ではなく、「どうすれば相手に納得してもらえるか」を考えることが相手を説得する近道になります。

 

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