葬法の種類:火葬、土葬、水葬、風葬、鳥葬

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人が亡くなると、仏教が盛んな日本ではほぼ100%の確率で火葬されることになります。これは、仏教の祖であるお釈迦様が亡くなったときに火葬されたことにちなんでいます。

 

日本では火葬されることが一般的です。しかし、世界を見渡してみるとさまざまな葬法が用いられています。ここでは、一つの知識として、世界にはどのような葬法が存在するのかについて見ていくことにしましょう。

 

火葬

 

先述のとおり、日本では人が亡くなると火葬されることになります。火葬は「荼毘(だび)」とも呼ばれます。

 

火葬は文字通り遺体を火で焼き、魂を極楽に送るという思想から行われてきました。仏教徒やヒンズー教徒間では、古来より行われてきた葬法です。

 

日本で行われる火葬場での流れは次のようなものです。

 

@納めの式

 

葬儀場から火葬場に遺体を移したあと、「納めの式」という儀式が行われます。納めの式とは、僧侶の読経、焼香、合掌、礼拝を行い、最後に棺の小窓を開け、故人との最後の別れをする儀式です。

 

A火葬

 

納めの式が終わると、遺体は炉に入れられ火葬されます。火葬はおよそ1時間で終わります。その間は火葬場の待合室で待機することになります。

 

B骨上げ

 

火葬が終わると、次は「骨上げ(こつあげ)」を行います。骨上げとは、故人の遺骨を骨壷に入れる儀式です。骨上げは二人一組で遺骨を箸ではさみ、骨壷へ移します。

 

足から頭に向かって骨を入れていき、最後は遺族代表が喉仏の骨を骨壷に入れて骨上げの儀式は終わりです。

 

骨上げについて淡々と書いていますが、実際に骨上げを行うときは緊張します。私は祖母の骨上げを行った経験がありますが、手が震えて遺骨を落としそうになりました。また、骨上げに使用する箸が非常に長く使いづらいものでした。

 

話を戻しますが、今でこそこのような火葬をするための設備が整っていますが、現在のような火葬設備が整う前は、村はずれの河原などで「野焼き」をされることが普通だったのです。

 

その他、キリスト教が盛んな欧米では、火葬をして遺体を傷つけることは禁忌とされていました。しかし、埋葬できる土地が少なくなってきたことや、自宅の近くに散骨したいなど意見が多いことから、最近では多くの州が火葬することを許可しているようです。

 

土葬

 

世界中で古くから行われる葬法に、「土葬」があります。土葬による葬法は、主に棺や瓶に遺体を入れ、地面に掘った穴に埋葬する方法です。遺体をそのまま土に埋める方法もあります。

 

今でこそ火葬が主流になっていますが、昭和初期頃までは土葬も一般的な葬法の一つでした。しかし、限りある土地の問題や疫病などの衛生面での問題が指摘され、現在のような形に落ち着いています。

 

日本の法律では、土葬をすることは禁止されていません。ただ、上記のような問題があることから、自治体ごとに禁止していることが多く、土葬の風習は急速になくなりつつあります。

 

このように日本ではなくなりつつある土葬ですが、キリスト教やイスラム教が盛んな地域では、土葬による葬法が主流です。

 

これは宗教による考え方が大きく起因しています。例えば、イスラム教では、火葬は死者の魂を冒涜する行為として禁忌とされています。

 

水葬

 

水葬とは、遺体を海や川に流す葬法です。ご存じの方も多いですが、ガンジス川の水葬は有名です。お墓という概念のないヒンドゥー教では、遺体を聖なる川に流すことで、死者がガンジス川と一体になることを望むのだといいます。ほとんどの場合は一旦火葬をし、遺骨や遺灰をガンジス川に流すことが多いです。

 

その他、アメリカなどの海軍でも水葬は行われています。洋上で死者が出た場合、遺体を棺に入れ国旗を巻きつけて海に流します。これは宗教による儀式というよりも、軍におけるセレモニーの一つという意味合いが強いです。

 

一方で、日本では水葬を行うことは禁止されています。一部例外もありますが、日本で水葬を行うと、死体遺棄罪に問われます。

 

風葬

 

風葬という漢字をみると、どこかさわやかな葬法をイメージしますが、実際には遺体を野ざらしにし、白骨化させる葬法です。樹木の上で風化させる「樹上葬」、洞窟の中で風化させる「洞窟葬」も風葬になります。

 

風葬は東南アジアを始め、世界中で見られる葬法です。現在の日本では全く想像ができない方法ですが、実は日本でも戦前から戦後初期にかけて沖縄や一部の離島でも行われてきました。

 

鳥葬(天葬)

 

鳥葬という葬法があります。これはチベット高地で行われる葬法で、遺体を鳥(ハゲワシ)に食べさせるというものです。チベット以外ではインドの一部地域でも行われています。

 

遺体をハゲワシに食べさせるという日本人には理解できない葬法ですが、チベット仏教では「魂の抜けた肉体は空の容器にすぎない」という考え方があります。

 

その空の容器(遺体)を鳥に食べさせ、魂とともに天に送り届けるという思想から行われているようです。現在でもチベットでは鳥葬が行われていますが、2006年から関係者以外の撮影や観覧は禁止されています。

 

これまで解説してきたように、世界には死者を弔うためにさまざまな方法がとられています。いぞれの葬法についても、宗教観、土地柄、時代背景が強く反映されています。日本では、仏教の思想と土地が少ないという土地柄から、今後も火葬が主流であり続けるのではないでしょうか。


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