葬儀マナー完全ガイド

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葬儀に出席する場合、作法やマナーはもっとも気になるところです。このページでは、みなさんが特に気になる「香典」「服装」「焼香」「香典返し」のマナーについて解説しています。

 

香典

近親者や知人が亡くなったとき、故人の霊前に現金をお供えすることを、「香典」といいます。

 

香典は、昔は米、麦、野菜などの食料をお供えしていました。しかし、現代では香典袋に包んだ現金をお供えすることがマナーです。

 

このように現金をお供えする香典ですが、そもそも「いくらお供えすればよいのかわからない」といった疑問が出てきます。

 

特に葬式が初めての方であればわかならなくて当然かも知れません。そこでここでは、葬式のときに包む香典の相場について解説します。

 

故人との間柄で相場が変わる

葬式に出る際には、さまざまなケースが考えられます。身内や親戚の葬式はもちろん、会社の同僚、上司、友人、知人、学生時代の恩師などです。

 

当然のことですが、それぞれ間柄は違いますし、自分とどれだけ親しかったかによっても香典の相場が変わってきます。

 

地域や慣例によっても異なりますが、以下にそれぞれの間柄による香典の相場を示します。

 

家族、親族

・祖父母 10,000〜30,000円
・両親 30,000〜100,000円
・兄弟、姉妹 30,000〜50,000円
・叔父、叔母 10,000〜30,000円
・その他の親族(いとこ、甥、姪など)3,000〜30,000円

 

会社関係

・上司本人 5,000〜10,000円
・上司の家族 3,000〜10,000円
・同僚、部下本人 5,000〜10,000円
・同僚、部下の家族 3,000〜10,000円

 

友人、知人関係

・友人、知人 5,000〜10,000円
・友人、知人の家族 3,000〜10,000円
・学生時代の恩師 3,000〜10,000円
・隣近所の人 3,000〜10,000円
・仲人 10,000円

上記では一例を示しています。金額に幅がありますが、これは香典をお供えする側の年齢によって相場が変わるからです。

 

例えば、祖父母が亡くなったときの相場は10,000〜30,000円です。お供えする側が20代であれば10,000円、30代であれば20,000円、40代以降は30,000円というようになります。

 

また、会社関係者や学生時代の恩師に香典を包む場合は、数人で香典をまとめ、きりの良い金額になるようにしてお供えする場合もあります。

 

香典のマナー

香典の相場についてはおわかりいただけたと思います。ただ、それ以外にも香典にはマナーがあります。

 

香典の包み方

香典は現金をそのまま渡すのではなく、「香典袋」といわれる袋に包んで受付に渡します。香典袋は今ではコンビニで購入することができますので、それを利用すると良いでしょう。

 

この香典袋と中袋に、金額と名前を書いてお渡しすることになるのですが、このときは「薄墨の筆ペン」を使用します。

 

薄墨の筆ペンとは、くっきりとした黒ではなく、薄い黒色の筆ペンです。なぜわざわざ薄い色で書くのかというと、「悲しみの涙で墨が薄まった」という意味が込められているからです。

 

また、香典に入れるお札はピン札(新品のお札)はタブーとされてきました。ピン札を入れることで「不幸を予想してピン札を用意していた」と感じられてしまうからです。

 

しかし、現在ではそこまで気にする必要なありません。どうしても気になるようであれば、一度半分におって折り目をつけておけば問題ありません。

 

香典の渡し方

香典は、本来は葬式や告別式のときに渡すものでした。しかし、参列者が仕事の都合などで葬儀に参列できないなどの問題から、最近では通夜のときに香典を渡してもマナー違反とはなりません。

 

このとき、香典袋をはだかで持参するのではなく、「袱紗(ふくさ)」に入れて持っていくようにしましょう。袱紗に入れることで、「香典を汚さないように」という意味が込められているのです。

 

受付で香典をお渡しするときは、お悔やみの言葉とともに、両手で丁寧に差し出すようにします。

 

その他、場合によっては前もって遺族が香典を遠慮されていることがあります。この場合は遺族の気持ちを優先し、香典を持参しないようにしましょう。

 

服装

葬儀に参列する際に最も気になることが服装です。故人や遺族に対して、失礼のない身なりで葬儀に参列しなくてはいけません。

 

私がまだ紳士服店で働いている時には、喪服を持っていない方は、それこそあわてて喪服を購入していく方はとても多かったです。また、どのような喪服を選んで良いのかわからない方がほとんどでした。

 

服装だけではありません。通夜や葬儀に参列するにあたって、何を準備しておけばよいのかも重要なポイントです。ここでは、葬儀に参列する際の服装と、そのときに用意するものについて解説していきます。

 

服装のマナー

 

男性の服装

葬儀では喪服を着用します。以下が基本的な男性の服装になります。

・黒のフォーマルスーツ(シングル、ダブルどちらでも可)
・白無地のワイシャツ
・黒無地のネクタイ(タイピンは不可)
・黒の靴下
・黒の革靴

遺族側の正式な礼装は紋付袴ですが、近年ではフォーマルスーツのような略礼服が主流となっています。

 

通夜のときは遺族側は喪服を着用し、弔問する側は平服でも問題ありません。平服とは、主にスーツのことを指します。

 

「突然の不幸で喪服を用意していなかった」という意味も込められており、通夜のときは黒、紺、グレーといった控えめの色のスーツで弔問しても失礼には当たりません。ストライプなどの柄が入っているものは避けましょう。

 

また、時計はシンプルなものを選び、アクセサリーのたぐいはつけないようにしておきましょう。髪型もシンプルにして派手にならないように気を配ります。

 

女性の服装

女性の正礼装は黒無地の和装ですが、近年では男性と同じく略礼服が主流になっています。以下が女性の基本的な服装です。

・黒のフォーマルスーツ、黒のワンピース
・黒のストッキング
・黒の靴、バッグ(布、革製)

フォーマルスーツを選ぶときは、パンツタイプ、スカートタイプいずれでも問題ありません。ただ、肌の露出を控えるために、襟が開いているものやスカート丈が短いものは着用しないことが望ましいです。

 

髪型はシンプルにまとめ、アクセサリーは結婚指輪以外はつけないようにします。メイクも控えめに整える程度にしておきましょう。

 

靴はオーソドックスなパンプスにするか、短いヒールの靴を選びます。全体的に黒で統一しておけば問題ありませんが、光沢のある素材のものは避けたほうが良いでしょう。

 

子どもの服装

子どもが葬儀、通夜に参列するときは、男の子も女の子も学校の制服を着用します。

 

制服がない場合は、男の子であれば紺やグレーのジャケットに、白シャツ、黒ネクタイ、黒の靴を着用します。女の子は、黒やグレーのワンピースか、白シャツに黒のスカートを着用しておけば問題ありません。

 

ここまで解説してきたように、喪服は黒で統一するのが基本です。しかし、明治以前の日本では、喪服といえば白色がほとんどでした。

 

女性が結婚式のときに着る「白無垢」も、昔は喪服として着用されていたのです。これが明治以降になると、公の場では黒を基調とした礼服へと変化していったのです。そこから少しずつ民間の葬儀の場で着用され始め、現在の姿になりました。

 

準備するもの

数珠

 

仏式の葬儀では数珠が必要になります。

 

数珠は忘れやすいものの一つです。通夜などはあわてて家をでることが多く、つい忘れてしまいがちです。貸し借りはしなほうが良いとされているので、ご自身の数珠を用意しておくようにしておきます。

 

それでは、なぜ数珠が必要なのでしょうか。数珠は「念珠」とよばれ、数珠を持ち心を込めて手を合わせることで、煩悩を消し功徳を得られると言われています。また、数珠を常に手に持つことで、災厄から身を守ってくれるお守りの役目も果たす仏具です。

 

故人の魂の幸せを願うとともに厄除けの意味も込めて、仏式の葬儀の時には数珠を持参するようになっているのです。

 

数珠は仮に忘れたとしてもマナー上失礼には当たりませんが、より丁寧な印象を与える意味でも忘れずに持っていくようにしてください。

 

袱紗(ふくさ)

 

通夜や葬儀に参列するときは、受付で香典をお渡しすることになります。香典ははだかのままで持っていくのではなく、「袱紗」に入れて持っていくようにします。

 

これには「香典を汚さないようにする」意味が込められており、より丁寧な香典の渡し方です。時折、男性で内ポケットからそのまま香典を出す方を見かけますが、出来る限り袱紗を使用するようにしましょう。

 

 

意外と忘れがちなのが傘です。葬儀当日に天気が悪くなることもあるので、折り畳み傘などのコンパクトなものを用意しておくと良いです。傘の色は控えめな色であれば何色でも構いません。

 

ハンカチ

 

ハンカチは白色を選ぶようにします。基本的には無地が無難ですが、派手ではない限り刺繍が入ったものでも問題ありません。

 

黒のハンカチをお持ちの場合は、わざわざ白のハンカチを購入しなくても黒のハンカチを使用していただくと良いです。

 

焼香

葬儀ではさまざまな作法が存在します。その中の一つに「ご焼香」があります。

 

焼香とは、霊前でお香を焚くことを指します。焼香は仏式葬で行われる宗教作法であり、死者の魂の冥福を祈るために行われます。

 

このとき使われるお香は、抹香(まっこう)と呼ばれるものを使用します。抹香は、樒(しきみ)という樹木の枝をチップ状にしたものです。香りがよく、ほとんどの仏式葬で使用されています。

 

この焼香には、宗派により若干の違いがあります。ここでは、焼香の基礎と宗派ごとの焼香の仕方について解説していきます。

 

焼香の作法

基本的な焼香の所作は非常に簡単なものです。

 

霊前に備えてある抹香を、隣に設置してある香炉に焚べるだけです。このとき、左手に数珠を持ち、右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香を軽くつまみます。

 

次に、つまんだ抹香を眉間(みけん:眉と眉の間)の位置まで持っていきます。これを「押しいただく」といいます。最後はつまんだ抹香を香炉の上まで移動させ、高すぎない位置から香炉の炭の上に焚べて終了です。

 

このとき注意することは、焼香の前と後には必ず遺族の方を向いて一礼を行うことです。詳しくは以下のようになります。

 

@席を立つときに回りの会葬者に向けて会釈を行う
A焼香台の手前で遺族に向って一礼を行う
B祭壇の前で遺影に向かって一礼を行う
C焼香をする
D証拠が終わったあと、再び遺影に向かって一礼を行う
E焼香台から離れる際に、遺族に向かって一礼を行う

 

このような流れで焼香を行うことになります。

 

宗派ごとの焼香の仕方

焼香の作法には宗派ごとに違いがあります。ここでは主だった宗派の焼香作法について見ていきます。

宗派 焼香の回数
真言宗 押しいただき3回(2回め以降はそのまま落としても良い)
浄土宗 決まりはない
浄土真宗(本願寺派) 押しいただかず1回
曹洞宗 1回目は押しいただき、2回目はそのまま落とす
日蓮宗 決まりはない

このように宗派ごとの違いはありますが、故人の冥福を祈る気持ちがあれば回数に拘る必要はありません。抹香を1〜3回香炉に焚べ、死者の魂の冥福を祈りましょう。

 

返礼品・香典返し

次に遺族側のマナーについて見ていきましょう。

 

身内に不幸があったとき、遺族は弔問していただいた方や香典をいただいた方に対してお礼をするのがマナーです。

 

ここでは、遺族が弔問者や会葬者にお渡しする、返礼品と香典返しのマナーについて述べていきます。

 

返礼品のマナー

通夜や葬儀に参列していただいた会葬者の方に、「わざわざ来ていただきまして、ありがとうございます」の意味を込めてお礼の品をお渡しします。これを「返礼品」といいます。

 

この返礼品には、通夜のときにお渡しする「通夜返礼品」と、葬儀のときにお渡しする「会葬返礼品」があります。

 

通夜返礼品

通夜には、故人の冥福を祈る意味で、最後に通夜振る舞い(食事)が行われます。通夜振る舞いは基本的にはいただくことがマナーですが、遠方からの弔問で時間がない場合や、仕事の都合などで通夜振る舞いに出席することができないケースも出てきます。

 

このような弔問者に、通夜振る舞いの代わりに贈られる品が通夜返礼品になります。地域によっては通夜返礼品の風習がないところもあります。通夜返礼品の相場は500〜1000円程度のものが選ばれています。

 

この通夜返礼品ですが、実際に贈る品は弔問者が持ち帰るときに邪魔にならないような小さめの品を送ることが多いです。

 

具体的には、小さな箱に入ったお茶やハンカチが贈られることが多いようです。実際に返礼品をいただいたことがある方は、お茶やハンカチが多かったのではないでしょうか。

 

会葬返礼品

会葬返礼品とは、葬儀に参列していただいた会葬者全員にお渡しするお礼の品になります。香典の有無関係なくお渡しするのがマナーです。

 

会葬返礼品は通夜返礼品と同じと考えていただくと良いです。相場は500〜1000円程度で、お茶やハンカチなどかさばらないものを用意しておきます。

 

葬儀が終わって会葬者がお帰りになるときにお渡ししますが、このとき一緒に「会葬礼状」もお渡しすることが多いです。

 

香典返しのマナー

通夜や葬儀に参列していただいた場合、弔問者から香典をいただくことになります。この香典をいただいたお礼に、後日お礼の品をお返しします。これを「香典返し」といいます。

 

香典返しは、香典を「いただいた方だけ」にお返しするお礼の品です。以下に詳しく述べます。

 

香典返しの時期

香典返しを行うタイミングは2つあります。

 

一つ目は、忌明け法要が終わったあとに香典返しをする方法です。

 

日本の葬儀の90%以上は仏式で行われます。香典返しの時期は、仏教でいう「忌明け(きあけ)」の法要が終わった後に行われることになります。

 

忌明け法要は、故人が亡くなった日から49日目に行われます。この49日は、故人が仏様になるための準備期間とされており、「故人が無事に成仏しました」という意味を込めて、忌明けに香典返しを行うのです。

 

一般的には、この忌明け法要の後に香典返しをすることが多いです。

 

二つ目は、葬儀当日に香典返しをする方法です。

 

香典の金額にかかわらず、一律で同じ品をお返しします。当日渡しのメリットは、帰宅する会葬者に手渡しで御礼の品を渡すことができることです。この場合、多額の香典をいただいた方には後日別途で香典返しを行います。

 

また、葬儀当日に香典返しが終わるため、あとからの煩わしい手間を省くことができるメリットもあります。しかし、当日返しの風習がない地域もあるので注意が必要です。

 

香典返しの相場

実際の香典返しの相場ですが、基本は「半返し」になります。つまり、いただいた香典の50%が相場になります。しかし、近年ではいただいた香典の1/3を香典返しに当てることも多いです。

 

香典の相場は親族以外では5000〜10000円が多いため、2000〜3000円程度の品を用意することが多いです。

 

特に親しい間柄の方や、故人が生前にお世話になった方などに対しては、半返し以上の品を送ることもあります。この場合はその人との親密度に応じて金額を設定しておけばよいでしょう。

 

香典返しの品、お礼状

香典返しの品にはどのようなものが選ばれているのでしょうか。

 

主に、お茶のりなどの食料品、醤油やサラダ油などの調味料、石鹸や洗剤といった実用品が選ばれることが多いです。

 

これらに共通する点は「消耗品」であることです。やはり送った以上は使っていただきたいものです。これが食器や寝具になると、個人の趣味に合わなかった場合使っていただけない可能性があります。

 

このような理由から、お菓子や洗剤といった消耗品が選ばれることが多いです。

 

最近ではカタログギフトを送り、その中から自由に選択してもらう香典返しが人気があるようです。何を送ればよいか迷ったときは、カタログギフトによる香典返しにすると良いかもしれません。


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