【宗像市でゴミ屋敷清掃】統合失調症で片付けができなくなったケース
宗像市でゴミ屋敷片付け・汚部屋清掃を行っている業者「アークサービス」です。弊社の業務の中には、「福祉整理」というものがあります。
福祉整理とは、高齢からくる体の衰えで片付けが出来ない方や、障害があり家を整理できない方を対象とした片付けサービスです。
今回は障害を持つ40代女性、A・K様宅の福祉整理を行ったときの事例を紹介します。(とても長いです)
ご相談内容
あるとき、男性の声で次のような電話をいただきました。
「私は宗像市にある福祉施設の○○と申します」
「実は当センターに通われている方で、家の整理が出来ずに困っている方がいらっしゃいます」
「そこで、御社に見積りをお願いしたいのですが大丈夫でしょうか」
「見積り金額によってはお断りすることになるかもしれませんが、よろしいですか」
このようなご相談でした。弊社では、このような福祉施設からお問い合わせをいただくことがあります。今回は、宗像市にお住まいの40代女性宅の整理片付けに関する見積りのご相談でした。弊社では、どのような内容でもお見積りは無料で行っております。
今回も快諾し、福祉施設の方にスケジュールを調整していただき、後日お見積りを行うことになりました。
お見積り
今回は、お見積り時にセンターのスタッフの方が立ち会ってくださいます。時間通りに現場に到着し、依頼主様であるA・K様とスタッフ様にご挨拶をします。このとき、A・K様から次のような言葉をいただきました。
「今日はわざわざありがとうございます。今はこの散らかった状態で、80過ぎの母と暮らしています」
「私は障害があって普通の人ができることができません。母も足が悪く、歩くことも困難な状態です」
「どうしても自分達では片付けができないので、よろしくお願いします」
このように話してくださいました。この話をしてくださったとき、吃音(どもり)気味で、一言しゃべるごとに休憩を挟みながら一生懸命に説明してくださいました。
現場の一軒家は、玄関口から大量のものが積み上げられており、スムーズに入ることができません。また、廊下にもさまざまなモノが散乱しており、まっすぐに歩くことも出来ない状態でした。このときの様子は、以下の写真で確認できます。
写真を確認していただくとわかりますが、通路の3分の2はモノに埋め尽くされており非常に歩きにくいです。次に、リビングとキッチンを確認してみます。リビングとキッチンの様子は以下の写真になります。
ご覧いただくとわかるように、足の踏み場はなくモノをかき分けながら進むしかありません。このときお母様が、「電話が鳴ってもたどり着くまでに時間がかかる」と話してくださいました。
その言葉にも納得です。電話に限らず移動するたびに置いてあるモノを跨ぎ、かき分けなければいけません。さらにお母様は年齢から来る足腰の衰えにより、ますます移動が困難です。
また、テーブルにもこれ以上乗せることが出来ないほどの調味料や食器が置いてあり、リビングは全く隙間がない状態です。
このように大量のものに埋め尽くされた部屋では、つまづいて転ぶなどといった危険が伴います。実際に、「何度も転んだので危険を感じていました」とも話してくださいました。
リビングの確認が終わったあと、次は障害をお持ちのA・K様の部屋の確認です。A・K様の部屋は以下の写真で確認できます。
A・K様のお話では、手前にある僅かな空間で生活をされているそうです。また、空間がそこしかないため、足を伸ばすことが出来ず寝るときは丸まって眠っているそうです。このとき、A・K様は次のように話してくださいました。
「これまで何度も片付けようと思ったのです。でも、片付けを始めるとフラフラして呼吸が出来なくなるのです」
「片付ける意思はあるのですが、私は物欲が強いらしく、明らかなゴミ以外は捨てることが出来ません」
「何とかしたいのですが、自分ではできないのです」
このように、これまでの悩みを打ち明けていただきました。A・K様がどのような障害をお持ちなのかはわかりませんが、とても切実な悩みでした。
弊社にご相談いただく方の多くは、片付けが苦手な方です。その中で、皆さんに共通していることがあります。それは、片付けをしたい意思はあるが、どのように片付けたらよいのかわからないというものです。
例えば、「捨て方がわからない」、「何を残してよいのかわからない」、「一度捨てたら二度と手に入らないかもしれない」といった思いがあるため、簡単に片付けができません。
A・K様も例外ではなく、障害とは関係なく、上記のような思いが強いため片付けが出来ない様子でした。
しかし、このような思いのまま片付けを始めたとしても、これまでの経験上うまくいったためしがありません。そこで、弊社から以下のようなアドバイスをさせていただきました。
- モノを減らさなければ、今の状況を変えることができない
- 私たち(弊社)も頑張りますが、それ以上にA・K様が頑張って捨てる覚悟をしなければならない
- どうしても捨てることが出来ないものは捨てなくても良いが、いつかは必ず整理しなくてはいけない
このようなアドバイスをさせていただきました。ただ、このようなアドバイスをしても、A・K様は「私には自信がないです」と困っておられました。
このとき、福祉施設のスタッフの方も、「お母様のためにもこれを機会にきれいにしてみましょう」と、励ましてくださいました。
そして、弊社と福祉施設のスタッフの方の説得により、「わかりました。頑張ってみます」と片付ける決意をしていただきました。
片付けを希望している箇所はまだありました。それは、2階の部屋です。1階だけでもかなりの量が予想されますが、さらに2階も片付けたいとのご希望でした。
2階に上がるまでの階段にもモノが置いてあるため、モノをどかしながら2階の部屋を確認してみます。2階の様子は以下の写真になります。
2階の部屋も大量のモノに埋め尽くされた場所でした。A・K様もそうですが、お母様もモノを捨てることが出来ない性格のため、このような状況になってしまったとのことでした。
大量の服と布団、さまざまな生活用品や思い出の品など、これ以上置く場所がないほど溜め込んでありました。すべての場所を確認したところで、お見積り金額を提示する前にA・K様から次のような質問を受けました。
「実は予算が○○万円しかありません。希望としては家全体を片付けたいのですが、可能でしょうか」
このような料金に関することでした。A・K様に提示された予算は決して少ない金額ではありませんが、それでも家一軒を片付けるには難しい金額です。そこで正直に「その金額では難しい」ことを伝え、次のような提案をさせていただきました。
「それではその予算内で整理してはいかがですか」
「2階は使っていないとのことですので、普段よく使う1階だけをきれいにしてみてはいかがでしょうか」
このようにご提案しました。この提案にA・K様もご納得いただいた様子でした。ここで、福祉施設のスタッフ様より、「それではA・K様と検討させていただき、後ほどご連絡をさせていただいてよろしいですか」と言われました。
これを快諾し、このときはいったん帰ることになりました。そして、その日のうちに福祉施設様より片付けの依頼をいただき、正式にご契約となりました。
作業1日目
お約束の日に現場である福岡県宗像市のA・K様宅へ向かいます。お約束の時間よりも少し早めに着いたのですが、A・K様とお母様はすでに片付けの準備を始めていらっしゃいました。
あまりにもモノが多いので、まずは庭にシートを敷き、そこに必要なものを出しておきます。そうしないと、不用品の分別が難しくなるからです。また、事前に分けておくことで、必要なものまで捨ててしまわないようにします。
お母様も足が悪い中で頑張っていただきました。ただ、先述していますがお母様も片付けが苦手です。そのため、残すものが数多くあります。
弊社からも、「またこれらのものを家の中に入れていては、物が減りませんよ」とアドバイスをします。しかし、お母様は「でも必要だから残しておく」と頑なにその態度を変えられませんでした。
そこまで言われてしまうと弊社としても何もいえません。お母様の心が変わることを願いながら作業にとりかかります。
まずは玄関にある大量の品を整理していきます。多くの方は「部屋を片付けたい」と考えがちですが、利用頻度が最も高い場所が玄関や廊下です。したがって、ここを最優先できれいにしなくてはけません。玄関と廊下がきれいになるだけでも普段のストレスは激減します。
A・K様とお母様に、「残しておくか」、「処分するか」を一点一点お聞きしながら仕分けをしていきます。この作業はとても時間がかかりますが、依頼主様に満足していただくために必要です。
しかし、これだけモノが大量にあると、玄関と廊下だけでもかなりの時間を要しました。また、A・K様とお母様の意見がなかなか合わず、ちょっとした喧嘩になってしまう場面もありました。
非常にゆっくりですが、なんとか玄関と廊下の整理が終わりました。ただ、残すものが数多くあるため、弊社が考えていたレベルまで整理できなかったことが残念でした。このときの様子は以下の写真になります。
ご覧の通り、まだまだきれいであるとはいえません。それでもA・K様とお母様は喜んでくださり、お母様が「空気が変わって気持ちが良い」とおっしゃられました。
次は、本日のメインであるA・K様のお部屋に取り掛かります。このことをお伝えすると、A・K様は暗い顔をされ「(整理することに)自信がないです」と少々弱音を吐かれていました。
A・K様を励ましながら作業に取り掛かります。ここでも1点1点確認しながら仕分けをしていくのですが、A・K様はほとんどのものに対し「必要だ」と言われます。
そのため、廊下や玄関以上に処分することが出来ません。また、整理をしているとA・K様の呼吸が非常に苦しそうで、たびたび休憩を挟みながらの作業になりました。
A・K様のペースに合わせ、ゆっくりと作業を進めていきます。このとき、ご自身の病気や障害についてたくさんのお話を聞くことが出来ました。
「私がすぐに呼吸が苦しくなるのは、『無呼吸症』のためなのです」
「起きているときは常に身体がきつく、少しの運動ですぐに苦しくなってしまいます」
「自分で整理をしていると、頭がくらくらしてきて続けることが出来ません」
このようなお話でした。無呼吸症とは、正式には「睡眠時無呼吸症候群」と呼ばれます。病名の通り、睡眠時に何回も呼吸が止まる病気です。
睡眠時無呼吸症候群の方は、日中に倦怠感を感じたり、眠気を感じたりするそうです。そのため、「常に身体がきつい」とも話してくださいました。
さらにご自身の障害についても詳しく話してくださいました。
「私には障害があります。その障害は『統合失調症』というのですが、ご存知ですか?」
「私の場合、妄想が強いらしいです。ずっと誰かに監視されていたのですが、医者に『それは妄想です』といわれました。今は薬で抑えています」
「あと、幻視と幻聴もすごいです。よくあるのが、家の周りを何者かの声がぐるぐると回っているのです」
「幻視については、母が二人いることがよくあります」
「テレビから私の悪口が聞こえてくることもあるのです。そんなときは、『これは統合失調症の症状なのだ』と言い聞かせています」
「片付けはもともと苦手なのですが、病気になってからはさらに出来なくなってしまいました」
このように話してくださいました。本来であれば話しにくいことですが、誰かに話すことでスッキリすることもあります。A・K様はこちらが驚くほどご自身の病気や障害について教えてくださいました。
このような病気を持つ方の本当の苦労は私にはわかりません。しかし、その苦労を少しでも軽くすることができるよう日々の業務を行っています。
休憩を終えて作業を再開します。しかし、再開はしたもののやはりモノを減らすことが出来ません。弊社は、依頼主様が快適な生活を送ることが出来るようにお手伝いすることが使命です。
そのため、さまざまなアドバイスを行います。先述しているように、「モノは減らさないといけない」、「本人様が頑張らなくてはいけない」、「このままでは何一つ改善できない」などを再度お伝えしますが、どうしても「無理」とのことでした。
また、「いつも使っているものが別の場所に移動してしまうと、わからなくなるからそのままにしておいてほしい」ともいわれたため、すっきりとした部屋を提供することができませんでした。
休憩を取りながら3時間以上頑張ってみましたが、結局小さなごみを数袋処分しただけに終わってしまいました。このときの写真は以下のものになります。
弊社としては悔いが残る作業内容になってしまいました。A・K様も「本当はもっと片付けたいです。でもできません」と、肩を落としておられました。
しかし、ここで無理をしてしまうと、今度は片付けること自体が嫌になってしまいます。そうなると、このときの嫌な思い出があるためにますます片付けができなくなる可能性があるのです。このことをA・K様にお伝えし、気持ちを軽くした上で部屋の作業を終えることにしました。
このとき、福祉施設の方が作業の様子を見にこられました。ご挨拶を交わし、状況の説明を行います。以前の状況をご存知のようで、「とても見違えました。残りもよろしくお願いします」と応援してくださいました。
A・K様の部屋を終わらせたところで、A・K様もお母様もとてもきつそうにされていました。普段することがない大掛かりな片付け作業をしたためです。
これ以上はお二人の負担がかかりすぎると判断したため、本日の作業はここで打ち切ることにしました。ただ、お二人とも「こんなに動いたのは久しぶり」と楽しそうにおっしゃられました。1日目の作業はここで終了です。
作業2日目
作業2日目は、普段お母様が生活されているリビングです。リビングはこれまで以上にモノが多いです。しかし、ここはしっかりと整理をしなければ生活に支障が出てしまいます。
リビングはお母様が普段生活しているということもあり、そのほとんどがお母様のものです。そのため、お母様に確認を取りながら作業を進めるのですが、初日とは違いほとんどのものを「処分してよい」と言ってくださいました。
お話によると、「昨日の作業を見ていると、やはり整理しないとダメだと思った」とのことでした。このようなことはよくあります。自分ではできないことでも、第3者が入ることによって心境の変化が起こるのです。
そのため作業はとてもスムーズに進みました。もちろん、残すものはそれなりに多いですが、それでも見違えるほどきれいになりました。このときの写真が以下のものになります。
作業前のリビングについては、床が全く見えない状態でした。これでは躓くなどの危険があるため、徹底的に床面積を広くすることを目標に作業を進めることで広い空間を確保することができました。
テーブルの上にはまだたくさんのものが置いてありますが、「テーブルの上は自分達で見たいからそのままにしておいてほしい」とのご希望でしたので、ひとまずはそのままにしておくことになりました。
お母様は「電話をすぐにとることが出来る」と喜んでいただけました。さらに次のようなことも話してくださいました。
「あなた達に来ていただいて本当に良かった。私も娘もこのような業者に慣れていないのでとても不安だったのです」
「業者を探すのはお世話になっている施設の人に頼んだけど、来てくれたのがあなた達でよかった」
「この2日は大変だったけど、とても楽しく整理ができた。あなた達とおしゃべりすることが楽しかった」
「まだすべてが片付けたわけではないので、またあなたたちにお願いしたい」
このように大変ありがたい言葉をいただきました。お母様はとても明るい方で、「私も一緒につれて帰って」などと冗談いいながらの楽しい現場でした。
最後にお支払いになるのですが、このときA・K様から次のようなお願いをされました。
「数年ぶりに広くなったので、今日は母の横で寝たいと思います」
「そこでお願いなのですが、母と私の布団を持ってきていただいてもいいでしょうか」
「布団を持ち上げることが難しいので、わがままをいいますが持ってきてくださると助かります」
このようなお願いでした。布団を出してくるくらいお安い御用です。このお願いを快くお受けし、リビングの一角に布団を並べました。
布団を敷く作業が終わると、A・K様から次のようなお話をしてくださいました。
「本当にいろいろとお世話になりました」
「実は黙っていたのですが、施設職員の方のアドバイスで他業者にも見積りを取っていたのです」
「料金的には他にも安いところがあったのですが、障害を持つ私の話を真剣に聞いてくれたり、いろいろとアドバイスをしてくれたりしたことがうれしかったのでアークサービスさんに決めました」
「施設職員の方も『一番やさしかったから絶対にここ(弊社)がいいよ』といってくれました」
「実際の作業中もとても親切で、お願いしてよかったと感じました」
「あまりに親切なので、たくさんわがままをいってしまい甘えてしまいました。すみませんでした」
このように話してくださいました。この言葉はとてもうれしかったです。弊社は単に部屋を片付けるのではなく、片付けにより心の負担を軽くしたいという思いがあります。
そのため、はじめのうちは不安だったとしても、最終的にこのように感謝されると弊社としてもとてもうれしく思います。最後に、A・K様とお母様に見送っていただき今回の現場は終了しました。
この現場では、普段知ることができない病気や障害を持つ方の苦労がよくわかった現場でした。快適な空間で暮らしたいという思いがあっても、それを行動に移すことができません。つまり、「しない」のではなく、「できない」のです。
弊社は、片付けを通して病気や障害で苦しむ方たちの支援を行っています。そのような場合、ご相談いただければ必ずお力になることができます。
アンケート
A・K様よりアンケートをいただきましたので、以下に紹介します。
弊社にご相談いただいた理由は何ですか?
●●●●(施設名)の方に片付けきれないと相談したのが最初で、ゴミをとるだけの業者じゃなく掃除もしてくれる業者がいいと相談したことで職員の方が連絡してくれたのです。
失礼ですが何者(社)か見積りを聞いて一番やさしい対応をしてくれたので、職員さんが「ここがいいっちゃない?(ここがいいのじゃない?)」と言って安くはないけどきめました。
でも良かったです。アフターサービスもきいて、やりっぱなしでいっちゃったような(やりっぱなしにされるような)つきおとされたかんがなく、何でもそうだんできてねどこ(寝床)を作ってもらったり、ふすまのあけしめも注意してくださりありがたかったです。
スタッフの対応は満足のいくものでしたか?
甘えてしまいました。自分のできない事をあっというまにパッパッと終わらせるてぎわの良さ、判断力、とてもすばらしかったです。
良く(欲)をいえば、もう少しきれいにしてほしかった。色々と。あと2階もしてほしかったけどすてる判だんができずしょうがなくなってしまいました。
作業内容にご満足いただけましたか?
ほぼ満足です。
担当者から一言
この度は、弊社アークサービスをご利用いただきありがとうございました。
A・K様のご希望としては、2階部分も整理されたかったのですが、ご予算の関係で1階のみの片付けになってしまいました。
また、A・K様の部屋については、どうしても捨てる判断ができずほとんどのものが残ってしまったため、弊社としても悔いが残る内容になり申し訳なかったです。
普段よく使う廊下やリビングは、広いスペースを確保することができたので、普段の生活は劇的に楽になるはずです。また、我々が普段知ることができない貴重なお話をしてくださりありがとうございました。
またお困りごとがございましたら、何でもご相談ください。
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