遺言書の種類を知り、生前整理を効率よく進める
生前整理を行うとき、遺言書の作成は重要です。ただ、遺言書には種類があり、それぞれどのような特徴があるのかを知らなくてはいけません。
そして、その特徴を理解した上で自分にあった遺言書を作成する必要があります。ここでは、生前整理の中で遺言書を作成する際に知るべき、遺言書の種類について解説していきます。
普通方式遺言
生前整理で遺言書を残すとき、一般的な遺言書の作成方法を「普通方式遺言」といいます。以下に詳しく述べていきます。
自筆証書遺言
筆記用具と紙を用意するだけで、いつでも気軽にはじめることができる遺言方式が、「自筆証書遺言」です。自筆証書遺言は、遺言のすべてを自分で書き、日付、氏名、押印をすることで完成する遺言書です。
自筆証書遺言のメリットは、「一人で作成可能」、「いつでも作成可能」、「遺言内容を秘密にできる」、「お金がかからない」などが考えられます。
非常に簡単で気軽に始めることができる反面、遺言書の書き方を間違えてしまうと、遺言内容が無効になる危険性もあります。
自筆証書遺言は、結局のところ素人が作る遺言書です。専門家に確認してもらうわけではないので、このようなデメリットがあることを認識する必要があります。
また、その保管方法も考えなければいけません。例えば、「遺言書を大切にしまいすぎて遺族が見つけることができなかった」というような可能性があるため、保管方法は慎重に行うべきです。
公正証書遺言
法律の専門家である公証人(弁護士、司法書士)に遺言書を作成してもらう方式を、「公正証書遺言」といいます。同時に公証人役場で遺言書を保管してくれるため、最も安全で間違いのない遺言を残すことができます。
また、公証人に作成してもらえるため、身体が不自由で字を書くことができない場合でも、遺言書を残すことができるメリットがあります。
確実に遺言書を遺族に残したいときは、公正証書遺言を作成すると良いです。ただし、デメリットも存在します。公正証書遺言は、プロに頼むことで作成してもらう方式です。
したがって、公正証書遺言の作成にはお金がかかります。料金は所有財産の額により決定されるので、財産をたくさんお持ちの方は、それだけ多くの料金がかかります。
また、公正証書遺言を残すに当たって、「証人」が必要です。証人とは、遺言内容を確認する人のことです。この証人が2名必要になります。
公正証書遺言の作成は、お金がかかり作成手順も面倒なものです。しかし、最も確実に遺言を残すことができます。
秘密証書遺言
遺言内容を誰にも知られることなく作成する方式を、「秘密証書遺言」といいます。秘密証書遺言は、遺言書を自分で作成し、保管は公証人役場に持ち込みます。そのため、次のような特徴があります。
秘密証書遺言は、遺言書を自筆します。したがって、その内容を自分が死ぬまで誰にも見られないというメリットがあります。
しかし、自筆証書遺言と同様に、専門家に確認してもらうわけではないので、その内容に不備があると遺言が無効になる可能性があります。
また、保管は公証人と証人の立会いの下、公証人役場で保管されることになります。そのため、偽造、紛失の心配はなく、確実に遺族の手に渡るメリットがあります。ただ、保管には料金がかかります。
特別方式遺言
普通方式遺言ができない、特別な状況下でのみ認められる「略式」の遺言方法です。以下の2種類があります。
危急時遺言
例えば、病気や事故などで死期が迫っており、普通方式遺言をすることができない人が口頭で行う遺言を、「危急時遺言」といいます。
危急時遺言は、遺言を作成した日から20日以内に家庭裁判所の確認を得ることができなければ無効になる遺言方式です。
また、遺言者が奇跡的に回復したとき、遺言者が普通方式での遺言ができる状態になってから6ヶ月間生存していた場合は、危急時遺言で作成した遺言は無効となります。
隔絶地遺言
伝染病を患った人や、刑務所に服役している人のように、行政の判断により外部との交通を断たれた場所にいる人が行う遺言を、「隔絶地遺言」といいます。
隔絶地遺言は、危急時遺言とは違い口頭での遺言は認められていません。そのため、必ず遺言書を作成する必要があります。
ここでは、生前整理のときに作成する遺言書の種類について詳しく解説してきました。遺言書の種類を知り、そのメリットとデメリットを考慮した上で、自分にあった遺言書を残すことが大切です。
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