片付けと自閉症スペクトラム
自閉症スペクトラムとは
ADHDと同様に発達障害の一つです。先天性のものなので、環境やしつけが原因で発症することはありません。子供の頃に見られる主な特徴として、次の4つが挙げられます。
・社会的な障害
・コミュニケーション障害
・パターン化した行動と限定的な興味
・社会的、対人的な障害
社会的な障害
社会的な障害といわれてもピンと来ないと思いますが、要するに人と友好な関係を作ることが苦手ということです。相手の立場になって考えることが苦手で、場の空気を読むことができない。自分にとって重要な人物(両親など)がわからない、笑わない、目を合わせないなどの症状が見られます。
コミュニケーション障害
幼少期は言葉を発するのが遅く、なかなか言葉が増えません。呼びかけても振り向かない、相手の言葉の意味を理解できないなど、会話自体を苦手とします。会話のキャッチボールができず一方的になりやすいのが特徴です。
パターン化した行動と限定的な興味
自分の中にルールがあり、そのルールから外れることを極端に嫌います。服を着る順番、身体を洗う順番など限定的に強いこだわりが見られます。また、自分が興味を持ったものには極端な愛情を持つことが多いようです。
これまで、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」と呼ばれていた発達障害は、自閉症スペクトラムという名称に統一されました。スペクトラムとは、連続体、範囲という意味です。つまり、軽い自閉症から重い自閉症の総称となります。
知能指数が低い自閉症を「低機能自閉症(カナー型自閉症・カナー症候群)」、知能指数が正常な自閉症を「高機能自閉症(アスペルガー障害・アスペルガー症候群)」となります。
自閉症スペクトラムと片付け
まず自閉症スペクトラムの方は「なぜ片づけをしなくてはならないのか」、これを理解することが難しいです。したがって、周りの人たちの助けが必要不可欠です。
自閉症スペクトラムの中にはサヴァン症候群といい、突出して記憶力が良い方もいます。サヴァン症候群の方は部屋が散らかっていても、その記憶力の良さから何がどこにあるか全て把握しています。
何がどこにあるのか記憶しているため片付けをする必要性を感じません。したがって、他人が勝手に片づけをしてしまうと、あるべきところにあるべき物がないため「失くしてしまった」と思ってしまうので注意が必要です。
このことを踏まえて、自閉症スペクトラムの方が片付けをできるようになるには、どのような方法が考えられるでしょうか。
ルールを明確にする
「片付ける場所」、「片付ける時間」、「なにから片付けるのか」など明確なルールを作ります。
一日のルーティンワークに組み込む
以上のことを、一日のスケジュールに組み込んでおくと良いです。自閉症の方は、同じ行動を繰り返すことが得意です。習慣になるまでは周りの人が手助けをする必要がありますが、いったん習慣になってしまえば、同じ行動をすることで部屋の片付けを行うことができます。