総務省の統計によると、平成20年度のそう住宅数は約5800万戸あるとされています。そして、その中の820万戸は空き家という恐ろしいデータがあります。
実に7軒に1軒は空き家ということになります。それでは、なぜこのような空き家が増えているのでしょうか。理由は単純で、親が亡くなって相続したものの実家に帰る人が少ないからです。
これは現在実家を相続していない人であっても、将来は必ず避けて通ることの出来ない問題になります。このとき、実家の相続に関したトラブルに発展することがあります。
ここでは、実家の相続トラブルとその対処法について解説していきます。
実家を相続する悲劇
親の遺産を相続するとき、不動産はどうするのかを考えると頭が痛くなる人は多いです。その理由として、そもそも実家を相続したくないという事実があります。
実家の処遇についてさまざまなお話をお聞きしていると、「実家を手放したいが売ることも貸すこともできない」という悩みをお聞きします。
実際の事例として、大変立派な住宅を相続した娘さまがいらっしゃいました。この方から遺品整理の依頼をいただいたのですが、このとき次のようなお話を聞くことができました。
「この家を相続したのですが、私にはとてもではありませんが管理できません」
「したがって本当はいらなかったのですが、相続しないわけにもいきませんでした」
「このような田舎の家が売れるわけもありませんので、もう10年以上放置しているのです」
このようなお話でした。この事例の方のように、実家を相続しても管理ができない、現在の生活があるので実家に戻るつもりがないなどの現実的な問題があります。
このときに相続放棄をすれば、必要のない実家を国や自治体が管理してくれると思われがちですが、そんなに甘いものではありません。なぜなら、売ることも貸すこともできない資産価値のない不動産は、国や自治体であっても必要のないものだからです。
たしかに、相続放棄をすれば固定資産税の支払い義務はなくなります。ただ、相続財産の管理責任はあなたについて回ります。つまり、たとえ相続放棄をしても実家の管理はあなたがしなくてはならない義務があるのです。
そして、このような事実から、兄弟間で不動産を押し付けあうといった相続問題に発展することはとても多いのです。
生前整理を家族で行う
それでは、このような相続問題に発展させないためにはどのようにすればよいのでしょうか。それは、「生前整理」を行うことです。
生前整理とは、親が健在のときに身辺整理をすることを指します。この生前整理で、遺品の分配をどうするのか、不動産は誰が相続するのかなど家族(相続人)で話し合っておきます。
この話し合いの中で、将来的にも実家に戻るつもりがないことがわかれば、早いうちから対策をとることができます。
早いうちから対策をとることで、資産価値の高いときに売ることができるかもしれません。また、リフォームをして賃貸物件として貸し出すといった方法をとることができるかもしれません。
いずれにしても、親が健在のうちから家族で話し合うことにより、お互いが納得の行く形をとることができる可能性が高くなります。
何事も早めに対策をしておくことは大切なことです。これが遺族の絆を壊すかもしれないことであればなおさらといえるでしょう。
田舎の実家の処遇は頭が痛い問題です。将来的にこのようなトラブルの可能性があるのであれば、生前整理でじっくりと家族で話し合ってみることをお勧めします。
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