喪に服す期間とタブー
身内に不幸があったとき、しばらくの間、遺族が謹んで生活することを、「喪に服す」といいます。そして、喪に服している期間が「服喪期間」です。
これには理由があり、亡くなってすぐは故人の魂がまだ側にいるため、お祝いごとなどの行事を一定期間自粛しながら暮らしましょうという意味があります。
この期間は、「忌中(きちゅう)」と「喪中(もちゅう)」の2つに分けられます。
忌中の期間は、故人の命日から7週間(49日)とされています。忌服期間は、お祝い事や神社への参拝は慎むようにし、家の玄関の前に「忌中」と書かれた紙や簾(すだれ)を掲げる風習があります。
そして、この忌中が終わる日を「忌明け(きあけ)」呼び、このときに納骨や香典返しを行うことが多いです。
喪中の期間は、故人の命日から1年間とされています。服喪期間も忌服期間と同様に、お祝い事やお祭りなどのめでたい席への出席は控えるようにします。
一般的には、このような2つの期間で忌中と喪中を使い分けることが多いです。しかし、地域によっては同じ意味で使われることもあります。
命日から1年後の一周忌をもって、喪に服す期間が終わります。これを「喪明け(もあけ)」といいます。喪明け後は、遺族も普段の生活に戻ることになります。
喪中にタブーとされること
喪中は、お祝い事やめでたい席に出席することを慎まなければいけません。具体的にはどのようなことを慎めばよいでしょうか。以下に具体例を示します。
正月の祝い事
正月は新年を迎えるお祝いごとになります。年始回り、初詣、おせち料理、しめ飾り、鏡餅、お年玉など、めでたいものや席は設けないようにします。
とは言え、お年玉は子どもたちがとても楽しみにしている行事です。亡くなった方も、子どもたちの楽しみを奪ってまで喪に服して欲しいとは思わないはずです。したがって、お年玉という名目ではなく、「お小遣い」「文房具代」という名目で渡すのであれば問題ないです。
また、お正月といえば初詣ですが、神社への参拝は控えるようにしましょう。これは、神道の考え方で、喪中は「死の穢れ(けがれ)がついている」と考えられているからです。
この「死の穢れ」を神聖な神社に持ち込まないように、喪中は初詣は控えるようにするのです。地域により、忌中の期間は控えるようにしている場合もあります。
年賀状も控えるべき行事の一つです。年賀状は新年を祝うものであり、服喪期間は出さないようにするのが一般的です。
喪中であることを事前に知らせる、「喪中はがき」をだして年賀状をいただくのは辞退するように配慮してください。
結婚式
結婚式もお祝いの席であり、忌服期間と重なったときは先方に伝えて出席しないようにします。四十九日法要で忌明けしたあとは出席してもよいとされています。
自分の結婚式の場合は、基本的には喪中を避けるのが一般的ですが、臨機応変に対応する場合もあります。
例えば、式場のキャンセルができない場合や、故人が結婚式をとても楽しみにしていたなど、さまざまなケースが考えられます。
このような場合は、双方の同意が必要になりますが、喪中に結婚式をしてはいけないというルールはありません。したがって、その場に合わせた対応をしていくのが良いかと思われます。
旅行
忌中は、「娯楽を控える」ことも大切です。旅行も娯楽であるため、喪に服している期間は避けることが望ましいです。忌明け後は問題ないとされていますので、旅行をする場合は日程を変更するように配慮しておきましょう。
喪中でも差し支えないこと
喪中でも差し支えない行事に、「お中元」「お歳暮」があります。これは日頃の感謝を伝えるための贈り物であり、お祝いごとではないので問題ありません。
また、七五三や入園式などの子どもたちの行事は、お祝いごとではありますが喪中であっても行ってあげるべきだと考えます。子どもたちにとって一生に一度の晴れ舞台ですし、これらの行事を行ったほうが故人も喜んでくれるはずです。